恋なんて、しないはずだった
──岡野杏莉。
大体が本名で活動するなか、名前を変えて活動したのは違う自分になりたかったから。
名前を変えれば、メイクで雰囲気を、髪型を変えれば。

違う自分になれて、自信がつくって思っていた。


「大和くんだけじゃ飽き足らず他の男たちも誘惑したいわけ？」

「そんなこと、一言も.......！」

「どーせ、読モ始めたのもそういうのが理由でしょ？わざわざ名前も雰囲気も変えて」

「そういうわけじゃ.......「だいたい雰囲気変えたってなにしたって、あんたは大和くんに釣り合わないよ」


たまたま読モの仕事に同じ高校の子がいっしょだっただけ。
ただそれだけだったのに、その子が大和のファンだったのが災難だった。
その読モの子から大和のファン代表を名乗ってる子に伝わった。

大和は「ファンとかそんなの勝手にやつてるだけだけど、碧になにかするのだけは許さないから」って言ってたけど、この子たちが何かをするのは絶対に大和がいないときだった。

自分を変えたくて、読モを始めたのにそこですらあたしは変われない。
何をしても大和に釣り合わないんだって思い知ってしまったあたしは学校にも仕事にも行けなくなった。
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