恋なんて、しないはずだった
「碧、大丈夫かよ.......お前来ねぇと学校もやっぱりつまんねーな」


大和はそんなあたしのことを見放さず、毎日学校帰りに会いに来てくれた。
あたしにとって、大和と会えるそんな生活だけが心の拠り所だったんだ。


そんな日々が続いた時、学校から帰ってきた大和の表情がいつもと違って硬かった。


「み、どり.......正直に答えて欲しいんだけど.......」

「え?」

「子供ができたって本当?」

「.......え?」


その言葉は衝撃的なものでしかなくて、そんなことにはなっていないのにすぐにちゃんと否定が出来なかった。


「.......ちょっと、ごめん。なにも考えてなかったわけじゃないんだ.......。こうなることだってあるって分かってるつもりだった。でも、まさか自分がとは思ってなくてさ。ごめん、今日は帰るな!」


大和が慌てたように立ち上がって、あたしの部屋を出ていった。

「ちょ、やま.......」と声をかけたときにはもう大和はドアを乱暴に開けていた。


「そんなことないのに.......なんでそんな話になっているんだろう」


ハッとなり、当時流行っていたSNSを開いてみる。
うちの高校のスレッドがあり、そこを開くと思った通りの文字が並んでいた。
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