恋なんて、しないはずだった
──辛島さん、妊娠だって
──それ、大和くんの子供なのかな?
──父親誰か分からないパターンかも
──だから最近学校休んでるんだね!

ズラリと並んでいた言葉を目にして、吐き気がした。

「みんなにここまで言われるようなこと、あたしした?」


ポロポロと出てくる涙。
大和に会えればそれでよかったのに、さっきの大和はいつもの大和とはまるで違った。
そりゃあ、あたしたちなまだ高校生だし、父親になるなんて考えられるわけは無いのはわかる。

でも、いつだってあたしの味方で、あたしの話を聞いてくれて、優しい笑顔をくれていた大和だっのに。
やっぱり、大和でさえああなってしまうんだ。


〝大和、話がしたい〟
〝ごめん。ちょっと気持ちの整理つけたい〟
〝整理なんてつける必要ないから!〟

だって、あたしたちの子供なんかできてないんだから。

〝俺の子供じゃないから、そんなこと言うわけ?〟

大和から送られてきたひとつのメッセージ。
頭をハンマーで殴られたかのような衝撃を覚えた。


「.......どうして、そんなことを言うの?」


大和のメッセージをみた瞬間猛烈に襲ってくる吐き気。

やばい、このままじゃ吐く!
そう思って階段を駆け下りてトイレへと入る。
でも、絶対に出てきそうなのに、嗚咽だけで何も出てきやしない。
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