恋なんて、しないはずだった
「みど、り.......!?どうしたの!?」


家に帰ってきたお母さんが慌てたような声でトイレをノックする。


「吐き気が止まらない.......」

「碧、あんた.......これ.......」



お母さんが手にしたものは、あたしが持ったままでいたスマートフォン。
そこには、さっき読んだ衝撃的な刑事板の文字が並んでいた。


「あたし、そんなことになってない!」

「.......っ、わかってるよ。でもどうしてこんなことに?」

「.......わかんない。最近体調悪くて休んでたからきっと誰かがこうなんじゃないかって言い出しことが大きくなってるんだとは思う」

「碧.......」

「お母さん、あたし生きているのが辛いよ」


大和と付き合って幸せだったはずだった。
でも釣り合おうと頑張ったり、無理をしたり。
挙句にあることないこと言われ続けて、あたしは心底疲れ果ててしまった。

こんなことでって思われるかもしれないけど、あたしは前を向いて歩けるほど強くはないから。


「そんなこと、言わないで。お母さん、碧の味方だから.......ね」


悲しそうな表情になるお母さんに胸が痛む。
あたしは親不孝なのかもしれない。
でも、このままここにいたらきっとあたしはいつか.......。
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