恋なんて、しないはずだった
「転校してきた日調べるなんて、抜かりないね」

「キモイだろー。引く?」

「ううん。嬉しい」


これが好きでもなんでもない人だったら引くかもしれないけど。
大我だから嬉しい。


「あれからさ、なかなかすれ違いで会えてねーけど」

「.......うん」


大和と再会して以降、バイトが忙しい時期で土日の休みがあまりなくて大我との時間が合わなかった。
どのクラスも時間が一緒の高校とは違って、大学はとっている授業によって、時間が違うので一緒に行き帰りをするということも出来なくて、本当にすれ違いになってしまう。


「ミヤに会ったりは.......?」

「するわけないじゃん。向こうはあたしの連絡先も知らないよ」


すこし不安そうな顔をする大我の手に自分の手を重ねる。


「でも、碧は知ってんだろ」

「まぁ、そのまま入ってるけど.......消した方がいいなら消すよ?」


大我のこと、不安にはさせたくない。
大我はあたしにこんなにも安心をもたらせてくれるのに。


「何も変えなくていいんだ。俺が消させたみたいのはすごい嫌だ」

「.......大我」

「べつに俺は碧の自由を奪いたくて付き合ってるわけじゃないから」


乗せたられたあたしの手をぎゅっと握る。

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