恋なんて、しないはずだった
だから、あの日以降大我と繋がることはなかった。
いざそう言われると、あの日の自分を思い出して、ドキドキしてしまう。
本当はあんな風にするつもりじゃなかったのに、その時が来るとやっぱり、自分が自分じゃなくなって.......そして、いつもと違う余裕のなさそうな大我のことを愛おしいと思った。

大我はあのあと「こんな勢いみたいな感じでごめん」って反省していたけど、そうなったことをあたしは後悔していない。
愛おしい大我とひとつになれるなんて、幸せななことどうしていままで避けてきたのだろうって逆にそっちを後悔してしまったくらい。

それまでは、大和とする以上に幸せを感じられないだなんて思っていたのに、全然だった。
いつの間にかあたしにとっての一番は大我なんだなって実感した瞬間だった。


「大我、好きだよ」

「なんだよ、もう1回するか?」


ベッドの上、大我に擦り寄るあたしの顔を覗き込む。


「.......もう」

「碧、俺はミヤに勝ててる?」

「え?」

「いままでは、大和ってやつになんか負けねーって思ってたんだけど、知ってるやつだと一気に不安になるもんなんだな」


はぁっとため息をついて、体を起こす。

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