恋なんて、しないはずだった
〝悪ぃ!俺の部屋に届けたりできる?いま、寮長いないから〟


2時間くらい経った頃、大我から返信がきた。
大我にもう一度会えることが嬉しくて「行く!」ってすぐに返事してしまうんだから、あたしも相当大我のことが好きだなって思う。


「本当にいないんだなぁー」


すぐ目の前の大我の寮に入って、キョロキョロと辺りを見渡す。
いつもなら入口のとこで見張っている寮長がそこにはいなかった。
とはいっても、もしもの事があっては困るので、慎重になりながら大我の部屋がある3階へと階段をのぼっていく。


「.......んっ、大我もっとちょーだい」


少しドアが開いていた大我の部屋から聞こえてきたのは女の子の声。


「お前、それわざと言ってんだろ?やらしー言葉使えばいいってもんじゃねーぞ」

「えー、その気になるかなって思ったのに」

「残念ながら彼女以外に欲情しません」

「へぇー?あの時はしたのに.......?」

「あー、あれは忘れてくれって言ってんだろ!」


クシャッと女の子の髪の毛を撫でる。


「なにあれ.......」


さすがにその間に入っていく勇気はなくて、そのままUターンして、玄関へと戻っていく。


「財布どーしよう.......」
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