恋なんて、しないはずだった
「そんなに碧ちゃんが好き?」

「.......好きだよ」

「あたしが言われたかった言葉。あたし、あの時無理やり言わせたっけ」

「.......そうだな」


好きでもない女を抱くなんて、絶対っておもってた。
でも「どうしても抱いて欲しい」と泣きながら俺に言う瑠樺の願いを断ることが出来なくて道を外してしまった。
もしかしたら抱けば好きになったりするかもしれねーなんてことも思ってた。

でも、これっぽっちもそんな気持ち湧いてこなかった。

──好きだよ、瑠樺。可愛い
瑠樺が言って欲しいと言うから言った。
ちっとも思ってなくても簡単に言えるもんだと笑えた。

でも、いまとなってはやめておけばよかったという後悔が大きい。
できればハジメテは緑とがよかったなんて、女みてーだけど、そう思わずにはいられない。


「碧ちゃんとは仲直りしちゃった?」

「そもそも喧嘩なんてしてねーから」

「つまんないの。あたしが入り込む隙もあけてよね」

「あけねーよ。いいからもう帰れ。二度とくるな」


瑠樺のことを部屋の外へと追い出して、バッグもすべて投げつける。


「もう、女の子にそんな乱暴にしたらダメだよ」

「好きな女だけでいいよ。女の子扱いすんのは」


そのままドアを閉める。

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