恋なんて、しないはずだった
「大我」


食事の時間がきて、下に降りるとミヤとサクもちょうど部屋から出てきたところだった。


「おう」


まえならそのまま一緒に食堂でご飯を食べていたけど、ミヤが大和だと知ってから一緒に食べる気にはなれなくて離れて座っている。


「大我、今日は一緒に食べよ」

「やだよ」


あれ以来俺に話しかけることは躊躇っていたように思えたミヤだけど、今日は俺の前に立ちはだかった。


「俺もサクも大我と友達でいたいんだよ」

「だったら碧と付き合ってた事実消してからにしてくれ」


できるはずもないことを告げて、俺は二人から離れた席へと腰をかける。

俺だって友達でいたくないなんて思っていない。
でも、ミヤは碧がずっと好きだった張本人なわけでそんな男と仲良くなんてできるとは思えない。
もちろん今の立場的に俺の方が碧に近いけど、そんなの不確かなものだ。


「やっぱり嫌だからここに座る」


カウンターで受け取ったトレイを手にしたミヤが俺の向かいの席へと座る。


「しつけーな。嫌だって言ってんだろ」


自分の好きな女の彼氏と仲良くしたいとか、ミヤはもしかしたらMなのかもしれない。
俺なら心が狭いからそんなの嫌だし、俺が彼氏だというのにそれでも嫌だから。

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