恋なんて、しないはずだった
「俺、大我と友達やめるつもりないよ」

「1人で思ってるだけじゃ、友達にはなれねーよ」

「だからって碧のことを諦めるつもりもないよ」

「.......っ、だったら友達とか無理に決まってんだろ。バカだろ」


ミヤの言葉に食べていたカレーを吹き出しそうになる。


「でも、瑠樺ちゃんと大我なんかワケありなんでしょ?」

「瑠樺のことは何とも思ってない」

「でも、さっき無理に笑おうとしてたけど、碧は泣きそうな顔してた」

「分かったように言うなよ。.......んな事俺が一番分かってる」


自分が一番知っているような顔をするミヤのことが物凄く恐怖だった。
碧のことを好きになってからずっと勝てないと思っていた存在がいま目の前にいる。


「碧は俺の彼女だから」


自分に言い聞かせるようにそう言い放った。
──俺が碧の彼氏だから大丈夫。
そうでも思ってないとやってられない。
最初から、勝てるなんて思ったことのなかった相手に押しつぶされてしまいそう。


「なんか、大我無理してんね」

「.......っ、なんだよそれ」


なんでもお見通しのようなミヤのことを睨みつける。
少しでも威勢よくいないと潰れてしまう。
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