恋なんて、しないはずだった
「.......っ、な!そんなわけねーだろ!慎吾のくせにムカつくな!」



少し頬を赤くしながら、怒ったように教室から出ていく。



「まーた、慎吾はすぐに大我を怒らせるんだから」



呆れたようにはぁっとため息をつく水戸さん。



「ごめんねー、碧ちゃん。慎吾、すぐに大我のことからかっちゃうのよねー」


「いやいや、今のはからかうだろー!あの、女に興味なかった大我がだぞ!?」


「まぁ、たしかに.......俺のこと見ればいいだなんてクサいセリフ言うなんて.......ふふ、ダメだ笑っちゃう」



思い出しているうちに面白くなってきたのか、笑い出す水戸さん。



「みなさん、仲良いんですね」


「おうっ!俺たち幼稚園から一緒なんだ!な?アズ!」


「そうそう腐れ縁ってやつ」



ニッと笑ってあたしをみる水戸さん。



「腐れ縁.......」



その言葉を聞いて、地元の幼なじみたちを思い出す。
いつも一緒だった、あたしとヤマとサクとみのりん。
4人で毎日遊んでた、楽しかったあの頃に戻りたいけど、もう戻ることはできない。
離れてしまったのは、あたしだから。

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