恋なんて、しないはずだった
「みど、り!」


息を切らして、大我があたし達ふたりのところへやってくる。


「大我.......」

「なんかあった?」


あたしと大和を交互にみる。


「男ふたりにこんなとこ連れてこられてた。お前、もー少し碧のことちゃんと見とけよ」


ポンっとあたしの頭に触れて、そのままあたし達に背を向けた。


「ごめん、碧。1人にさせて」

「ううん。大我が悪いわけじゃないよ」

「あーあ、またミヤに先越された」


グイッと大我に引っ張られて、腕の中へと連れてこられる。
さっきまでいた大和の腕の中と同じ男の人の腕の中なのに、大我の腕の中のほうが安らぎを感じられる。


「つーか、ムカつくからこっち羽織って」


ムスッとした顔をした大我は、あたしの肩にあった大和の上着をとって自分のを羽織らせる。


「大我が来てくれて、なんか安心できたよ」

「ほんと?ミヤがきたときじゃなくて?」

「不思議だよね。大和がきたときももちろんホッとしたけど、大我とじゃあ全然違うの」

「.......そっか。やべぇ、めっちゃ嬉しい」


さっきまでの不機嫌そうな顔から一変、一気に嬉しそうな顔になる。
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