恋なんて、しないはずだった
あたしだって本来ならこんな面倒な女は好きじゃない。


「ダメだ........不安になったらもうずっと不安だ」


あーあ、好きになるって本当に面倒。
ひとつの歯車が狂っただけで、全部が崩れてしまう。
大和のことがあったときにもう恋なんてしないって決めたのに、どうしてまた恋をしてしまったんだろう。


「あ、アズ........」


待ち合わせ場所であったはずのベンチに座ってぼーっとしているとスマホが着信をつげた。
画面に表示されているのは、アズの名前。


『碧ちゃーん!誕生日おめでとう!』

「アズーーーー」

『え?どうしたの?なんか泣いてる!?』


アズからの電話が嬉しくて、歓喜あまってしまった。


「ううん、大丈夫」

『絶対なんかあったでしょ!どうしたの?』

「アズ........あのね........」


あたしゆっくりと掻い摘んでだけど、今日の出来事を話した。


『えー?大我、瑠樺と再会したのか........。それにしても、瑠樺のお母さんが大変なのはわかるけど、何とかならないのかなぁ........』

「仕方ないよ。聞いてくれて嬉しかった。ありがとう」

『もう、碧ちゃんももう少しワガママ言っていいんだよ』

「でも、ワガママ言った結果がこれだから。これ以上ワガママ言えなくなっちゃうよ」

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