恋なんて、しないはずだった
「水戸さんは嫌じゃないの.......?」


「え?なにが?」


「あたしが水戸さんたち3人の中に入ったような感じになってるの、嫌じゃないの.......?」



だって、水戸さんにとって、3人でいるのが居心地よかったのかもしれない。
なのに、杉浦くんがあたしを連れてきたことによって、その平穏が崩されたとしたら、申し訳なさすぎる。



「嫌じゃないよ。だって、大我が連れてきたんだよ?」


「え?」


「大我が連れてきたってことは、あたしたちとも仲良くなるようにできてるんだよ!」


「.......っ」



そんなふうに、笑顔で言われたら、その笑顔から目が離せなくなる。



「ほら、碧ちゃん。Tシャツに着替えてきて!」


「う、うん」



水戸さんが差し出してくれたTシャツを受け取って、教室の隅に作られた着替えスペースに向かう。



「うーわ。空気悪くなりそう」



着替えスペースに入った瞬間、女子たちの怪訝な顔があたしに向けられる。

一瞬、怯んでしまったけど、水戸さんの気持ちを無駄にしたくなくて、彼女たちの視線を無視した。

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