恋なんて、しないはずだった
「ねぇ、家近いじゃん。一緒に帰ろ?」


「だからなんで.......」



昨日までは学校で会っても話もしなかったような仲のあたしたち。
そもそもあたしには、話をするような相手はいないのだけど。



「なんでって、気になるから」


「だから、何が?」


「どーして、学校では存在を消してるのか?」


「別にあんたには関係ないと思うんだけど.......」



あたしがどのように学校で過ごそうとこの人には全く関係がない。
あたしは、誰かと仲良くするつもりも、必要最低限以外の会話をするつもりはない。

地元を出て、転校するときから決めていたことだ。



「俺、学級委員だし」


「だから、なに?」



さっきからあたしは同じセリフを言い続けている気がする。

この人、何を考えているのか分からなくて、イライラする。



「やっぱり、クラスメイトのことは知っておかないと。ね?」


「ね?じゃないです.......要らないです、そういうの」



こういうのを興味の押し付けというのだろう。
あたしになんか、興味を示してほしくないのに。

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