恋なんて、しないはずだった
「やっとみつけた。碧」



ニヤリと少し怖いくらいの笑みを浮かべて、あたしへとだんだんと近づいてくる。


カタカタと震え出す自分の体。

千景くんが目の前に現れただけで、こんなにも体が反応するなんて、思ってもいなかった。



「あいつがなんかの行事の写真、見せてきた時はびっくりしたよ。こんなメガネかけて髪の毛で顔隠したって、俺にはバレバレだよ。碧」


「あ、いや.......あの」



言葉が上手く出てこない。



「あー、俺が好きだった碧が転校して絶望したんだ。やっと会えたよ」


「こ、来ないで.......」



狂気じみた彼の顔にあたしは、後退りをした。



「なんで?俺の碧がこんなに近くにいるんだ。お前に騙されたことも今なら許してあげるから、な?」


「や.......「なにしてんだよ!碧、怯えてんだろ!」



やだって言おうとしたあたしの前に大きな背中が立ちはだかった。



「杉浦くん.......」


「おい、誰だよ.......碧と俺の間に立つな」

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