恋なんて、しないはずだった
「ってか、もしかして大我の弟ー?」


「そ。ほら、大登(たいと)。挨拶は?」


「こんにちは」


「こんにちは、ゆっくりしてってね」



大登の頭をそっと撫でる。



「ほんと、学校での碧とは何もかもが違うよな」


「学校では目立ちたくない、誰にも関わりたくないってのがあたしだったから.......結局関わってるけどね」


「なんだよ、俺のせいとでも言いたいのかよ」


「ううん、大我のおかげだよ」


「.......っ」



その言葉は反則だと思う。
俺は俺の勝手で碧の中に入り込んで、正直ウンザリされてないかなとか考えたこともあった。

でも、そんなのは俺の取り越し苦労だったようで、目の前の女はなんとも思っていないようだ。



「なぁ、碧。今日何時におわる?」


「16時までだよ」


「その後の時間、俺にくれない?」



今日は、この近くで夏祭りがある。
本当は碧のこと、誘いたいと思ってた。
なのに、変なところでチキンな俺は夏休みになってから1度も碧に連絡をとる事すらできなくて。

結局、当日になって誘うことになってしまった。

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