恋なんて、しないはずだった
誰かのことを好きになるとか、そーいうのは経験したことがなくて、このわけわからない感情には戸惑ってばかりだ。



「あれー?大我は今日用事があるんじゃなかったっけー?」



碧が行くならと、まんまとお祭りに来てしまった俺にニヤニヤした表情で近づいてくるアズ。



「うるせーよ。用事がなくなったんだよ」


「へー?そういうことにしておいてあげる」


「うん、そういうことにしておこう」



アズも慎吾も俺の事をからかうのを楽しみすぎている。



「お前ら、俺の事からかいすぎだろ」


「だって、嬉しいじゃん」



急に慎吾が真面目な表情に変わる。



「慎吾?」


「瑠樺(るか)ちゃんがいなくなってから、女の子に興味持った大我のこと見たこと無かったから」


「.......っ、別に瑠樺はそーいうんじゃねぇよ」


「わかってるよ」



瑠樺の名前を聞くだけで、申し訳ないとかそういう感情でたくさんになる。



「でも、瑠樺ちゃんは好きだったじゃん。大我のこと」


「.......っ、やめろよ。もう忘れたよ」

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