恋なんて、しないはずだった
「.......誰かにって」



あたしは、大我のことを好きではないのに。
取られるとかそういうことを言う立場ではない。

たしかに、毎日あたしの隣にいてくれる大我の隣に別の誰かがって考えたら寂しい気もするけど、それはただの独占欲。
好きだからじゃなくて、隣にいなくなるのが嫌なだけだから。



「えー?俺っすか?んー.......いいっすよ」



慎吾とアズが委員会のため、2人と別れて校舎を歩いていると、近くからそんか声が聞こえる。



「.......大我の声?」



聞き覚えがあるその声に、キョロキョロっと辺りを見渡せば、柱によりかかっている大我と女の子の姿が見えた。



「.......いいよって言ってた」



それって、告白の返事?
OKしたってこと?

大我が誰かの告白をOKすることを止める権利はあたしにはない。
でも、毎日大我があたしのことを「好き」だと言ってくれて、それに慣れつつあった近頃。

ふと、前の女の子を見ると嬉しそうに頬を赤らめて、喜んでいる様子が伺えた。

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