恋なんて、しないはずだった
「うん。サッカー部。ほら、この前の球技大会優勝したろ?で、メンバーがけが人続出らしくて、試合に出て欲しいってお願いされんだよ」


「そ、そうなの.......。でも、あの女の子すごく嬉しそうだったから大我のこと好きだと思うよ」


「ちげーよ。あの子が好きなのはサッカー部の部長。その好きなやつのために、頑張って助っ人探してるって言ってたぞ」


「.......なんだ、そうだったんだ」



あたしは、この事実が凄く嬉しかった。
大我のことを好きになれてないくせに、大我のことを離したくないなんて、随分とワガママだなって思う。
でも、自分以外の隣にいる大我なんて想像したくないから。



「なんだよ、碧。ヤキモチ?」


「そうだよ」


「は?おい.......」



ニヤッと笑って、得意げに聞いてきたくせにあたしの答えに顔を真っ赤にしてる。



「大我のこと、特別だと思ってるから」


「好きになってくれたわけではないんだろ?」


「それは.......うん」



こんなに、特別な存在になっているのに、まだあたしの心の大半を占めているのは、大和だ。

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