恋なんて、しないはずだった
「ま、それでいいよ。今は。俺に彼女ができたら嫌だって思ってくれてるだけでいい」


「.......大我」


「いいか、よーく覚えておけ」



大我があたしの顔を自分へと向かせる。



「俺がお前を好きじゃなくなる日なんてこねーから。だから、俺が誰かと付き合う日なんてこない。碧以外となんて、どんな美女来ようと、ナイスバディが来ようとないから。それだけは忘れるなよ」


「うん」



あたしの何が良くて、そこまで好意を持ってくれてるのかはわからない。
でも、ここまで誰かに思われたことなんて、いままでないから。

きっと、大我ならあたしの何を知っても離れていかないんだとわかってる。

それでも、まだ打ち明けるにはあたしの自信がないから。



「大我は、あたしの過去に何があっても離れていかない?」


「いかねーよ。俺がその過去ごと碧のことを受け止めてやるから。話せる勇気を持てたらいつだって、言えよ。俺は待ってるから」


「.......ありがとう」



待ってる人がいてくれる。
それがどれだけ嬉しいことか、大我はわかっているだろうか。

< 60 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop