恋なんて、しないはずだった
「大我が女の子連れてくるなんて、瑠樺ちゃん以来だわー」



なんて、大我のお母さんが夕食を食べながらニコニコしてる。



「なに、元カノ?」


「ばか、ちげーよ。俺の初恋はお前だって言ってんだろ」


「あら、大我顔真っ赤」



くすくすと笑ってるお母さんの笑顔は大我の笑顔にそっくり。



「もー、早く食べ終えて部屋でゲームでもしよー」



お母さんにタジタジになりながらご飯を口に運ぶ。



「すみません、ご飯ご馳走になってしまって.......」


「いいのよー、うち女の子いないから嬉しい。ね、お父さん」


「そうだなー。大我もついに彼女連れてくるようになったかー」



あはは、と笑いながらお父さんがビールを飲み干す。



「ただいま.......って、なに大我の彼女?」



大我を少し大人にしたような見た目の男の人。
一目で、大我のお兄さんだってわかった。



「お邪魔してます」


「まだ、彼女じゃないみたいよ。まだ」


「ふーん。片思いか。へー」



椅子に座って、あたしのことを見つめてくるお兄さん。

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