恋なんて、しないはずだった
「碧ちゃん、なんでこんなとこにいるの?」


「えっと.......」


「大和はどーしたの?俺が可愛がってた大和のことまさか捨てたの?」


「.......いや」



樹生くんは、たしか大学生の間、下宿をしていて、その下宿の大家さんが大和の親だった。
だから、大和のことは本当の弟のように可愛いって話していたのを覚えている。



「おい、兄貴!碧のこと困らせんのやめろよ!」



樹生くんにうろたえているあたしの前に、大我が立つ。



「おー、ヒーローのお出ましか」


「そういうのやめてくれよ。前の学校で碧になんかあったのは、分かってるけど碧が言いたくなるまで聞かないことにしてんだよ」


「へぇ.......。俺は大我も大事な弟だけど、大和も弟みたいに可愛がってるから、どっちかの味方になるとかは無理だけどな。ま、聞かないでおいてあげる」



ポンっとあたしの頭を撫でる。



「つーか、大和って誰だよ」


「元彼.......」


「あぁ、慎吾に似てるっていう.......」


「慎吾.......たしかに似てる」



2人の顔を思い浮かべたらしく、プッと吹き出す。

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