恋なんて、しないはずだった

✎*好きの形

「辛島ー、お前ちゃんと勉強してるのか?」



職員室にあたしを呼んだ担任は開口一番こう言った。



「そりゃ、一応.......?」



昔から勉強が嫌いなあたしは、家で机に向かうことはほぼほぼ無いに等しい。



「これ、見ろ」



担任が自分の机の上に出したのは、受け持っている数学のこの前行われた期末テストの用紙。



「うわっ」



まだ返されてないそれは、もう採点がされていて、点数のところには「20」と数字が記載されていた。



「お前、追試だからな?追試にも受からないと冬休みが潰れるけどいいいのか?」


「え、嫌だ.......」



冬休みは、一応地元に帰ることになっている。
実家は元々住んでいたところから少し離れた場所に引越しをしているから、大和に会うことはないけど、あの同じ空気を吸うことで大和と一緒にいる気分になりたいのだ。

それに、こっそり大和の様子を見に行こうかななんて思ってもいるから。
影からみるなんて、ストーカーみたいだけど、逃げ出してしまったあたしにはもうコレしか残ってないから。

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