恋なんて、しないはずだった
「だったら、ちゃんと勉強しろ。ほら、杉浦に教えてもらえ」


「はーい.......」



大我は先生も認めてしまうほど、成績がいいらしく、羨ましい。



「大我、お願い。勉強教えて!」


「え、どうした。急に」



教室に戻ってすぐに大我にパンっと手を合わせたあたしに彼はビックリしている。



「このままだとあたし、冬休みがなくなる!」


「え?何、期末の結果悪かったの?」


「.......みたい。さっき先生が」


「へー、そんなに冬休み欲しいの?なんで?」



大我が首を傾げる。



「いや、休みいらない人はいないと思うんだけど」


「やだ、教えない」


「えぇ.......?」



大我なら絶対教えてくれると思っていたのに、予想外の回答でしょぼんとしてしまう。



「だって、冬休み地元帰るんじゃん」


「あぁ.......」


「いやだよ。俺と一緒にクリスマスも正月も過ごすっていうなら教えてあげる」


「帰るっても、会う気はないよ?」



大我は相変わらず素直にあたしに向かってきてくれている。
それは、やっぱり嬉しい。

< 75 / 157 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop