恋なんて、しないはずだった
「さて、碧。どこでつまづいてんの?」


「全部.......」



大我の部屋。
テーブルを挟んで向かいに大我。



「じゃあ、これ解いてみてくれる?」



全部だなんて言うあたしにも、面倒な顔をにひとつせずに問題をあたしに出す。



「やっぱ数学嫌い.......」



もらった問題を解こうとするも、見ているうちに眠たくなりそうで、ペンを置いてしまう。


「碧は、ただ覚える気がなかっただけで公式をちゃんと覚えればいけるだろ。ほら、英語とかはできんじゃん?」


「.......英語は、まぁね」


「あれだって文法を覚えてるからわかるわけだろ?」



そう言って、大我は2年の時の数学の教科書を本棚からとる。



「すごい、2年の教科書なんか捨てたよ」


「応用が3年でも出てくるからね。復習がてら見ると違うんだよ」


「全然勉強なんてできなそうなのに、意外にちゃとしてんだね.......」


「おいおい、俺だって大学行きたいしちゃんと勉強くらいするわ」



持っていた教科書をポンっとあたしの頭に乗せる。

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