恋なんて、しないはずだった
「この公式。これ使っていいから書いてみて」


「公式.......」



目にするだけで頭が痛くなりそうだ。

大我の2年の数学の教科書には、たっぷりとメモ書きがされていて、大我の賢さが伺える。



「これに、書いていいの?」


「うん、書いた方が覚えるし、普段から見といた方がいい」



大我が渡してくれたのは、いわゆる暗記カード。



「こーいうの、英語とか国語でしか使ったことないよ」


「後ろと前でつかえるから、簡単に答えもみえないし覚えたか分かりやすいだろ?暗記するのにはいいんだよ。このカード」


「へぇ.......」


「これで公式覚えればあとはもう当てはめるだけだし。俺が今の碧に必要な公式書いておいてやるから、お前はそれを覚えていけ」


「うん、ありがとう」



いままで、数学には苦手意識しかなく、覚えることを放棄していたように感じる。

大我の字でかかれた暗記カードで、少しは覚えられるかな。



「で、まずは公式見ながらでいいから、この問題を解こうか」


「うん、わかった」

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