恋なんて、しないはずだった
「まぁ、いいけど。もう、会わないでしょ?」


「お?軽く流されるかと思ったけど、気にしてくれるわけ?」


「.......そりゃ、大我のこと好きだから」



最後のほうは声が小さくなってしまった。



「うーわ。嬉しい。それだけで俺、碧としちゃった気分」


「なにそれ、気持ち悪い」



なんて言いながらも、何となく頬をゆるめてしまう。

大我があたしのことをいつも変わらず思ってくれるのが嬉しくて。
きっと、大我とならずっと一緒にいれるって思うから。



「そういえば、お前4月からどーするつもりなの?」


「進路の話?」


「うん。俺は東京に出て専門学校に行くつもりなんだけど」


「.......え」



知らなかった。
ずっとここで、一緒いられると勝手に思っていた。



「碧?」


「いや、進路とか全然考えてなくて.......適当に働こうかなって」


「東京に一緒に出ようよ」



ぎゅっと手を握られる。



「でも、あたしは.......学校に行くつもりは」


「なんで?碧にだって保育士になりたいって夢あんだろ?」


「.......っ、なんでそれ」

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