恋なんて、しないはずだった
「ここ、保育士課程もあるし。一緒行こう?」


「ここ、大我も行くところ?」


「.......ん。俺は税理士になるつもりで、こっちの校舎で、保育科は隣の校舎だけどすぐだから。近くにいたいじゃん」


「うん.......考えてみる」



進学を考えるなら、地元に住んでいる親に相談をしなくてはならない。
いままで、そんな話をしてこなかったから、ビックリされるかもしれない。
でも、いま大我と離れるのは嫌だ。

保育士になりたいという夢はもう何年も前からあった。
でも、人と関わることを諦めてこっちに来た時に諦めた夢でもあった。



「ここって、光央(こうおう)だよね?」


「うん、そう」



光央とは、いろんな科があつまる専門学校で、ここには幼なじみのうちの一人もいくと言っていた。
だからといって、大我にここではない所にしてくれなんてことを言えるわけは無いし。
同じ専門学校だからといって、科は違うところになりそうだから、広い校舎で大我と会うこともなさそうだから。

3つある校舎のうち、1番右が大我のいく会計や、簿記などの科が集まった事務系。
真ん中があたしのいく保育や医療で一番左が幼なじみがいく消防士や警察などの公務員系と別れている。

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