恋なんて、しないはずだった
──岡野杏莉。
それは、あたしが読モをしていた時の名前だった。
だいたいは本名でやっているけど、スカウトされた時に本名でやるのはお断りをした。


「初めて言われたかなぁ?」


似てるじゃない。
地元の子たちは本人だってわかっていたから「似てる」なんてもちろん言われたことがないから嘘じゃない。


「もしかして本人だったり.......?」


瑠樺ちゃんがあたしの顔を覗き込む。


「.......っ、な、そんなわけ!」

「あはは!碧ちゃんそんな慌てて否定しなくても。嘘ついてるみたいだよ?」


無邪気に笑っているけど、この子は「何か違う」と感じてしまう。
ひとつの歯車が狂っただけで、何か知っているんじゃないか.......と勘ぐってしまう。


「碧ちゃんってどこ出身?」

「え?北海道.......」

「え、偶然じゃん!あたしたちも北海道!」

「えー、あたしだけ違うじゃんー」


六花ちゃんがぶうっと頬を膨らます。


「ふたりも北海道なんだ.......どこ?」

「A町だよ!」

「A、町.......」


あたしが小さい頃からずっと住んでいた町だ。
でも、ふたりのことは全く知らない。
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