恋愛暴君のきみは、ときどき甘い
恋の終わりは擬似恋愛の始まり


2年前―――――――――、

私と凌は、同じ中学だった。

凌のことは2年の時に同じクラスになって知った。


中学生の頃の凌は、今みたいに女の子から騒がれたりしていなかったけど、他の人より大人びていて、落ち着いているのに笑った顔が可愛くて。


バスケ部だった凌が体育館で部活をしている時の顔は本当に楽しそうでキラキラしていて。


そんな凌に強く惹かれていた。


夏休みに入る前の日、私は勇気を出して凌に告白した。


『ありがとう……』


恥ずかしそうに笑って顔を赤らめた凌を、ますます好きになって。


連絡先を交換したスマホが宝物になった。

幸せすぎて、もう死んでもいいなんて思ったその日の夜。


『ごめん、やっぱり付き合えない』


初めてきたメッセージは、別れを告げる言葉だった。


それからはまともに話が出来ないまま、3年になるのと同時に凌は転校してしまった。


前に進もうと、新しい恋をしてみたけれど。


いつまで経っても消せない連絡先は、凌のことが忘れられないことを証明されているような気がして、知らないフリをしていた。



< 11 / 25 >

この作品をシェア

pagetop