恋愛暴君のきみは、ときどき甘い
「でも今回はワケが違うの!適当な子捕まえて参加させるわけにいかなくて……」
私が乗り気にならない様子に焦ったのか、可奈は急に泣きそうな顔で私の肩に擦り寄ってきた。
おかしいな、いつもならとっくに他を当たりに行っているはずなのに。
「ワケが違うって、どういうこと……?」
宥めるように可奈の背中をさする。
野次を飛ばしていた里奈もさすがに心配そうに可奈を見つめていて、どうしたのだろうかと私と里奈は無言で視線を合わせた。
「いつも男子の方の幹事してる人があたしの中学の時の友達なんだけど、実はその人のことが最近気になってて」
たどたどしく話す可奈は珍しく自信なさげで、照れているのか時折気まずそうに目を泳がせている。
頬も少しピンクに染まってきているところを見ると、それってもしかして……。
「それって、その人に会うために頻繁に合コン開いてるってこと?」
可奈の肩がびくりと跳ねるのが見えて、私は慌てて里奈に視線を移した。
きょとんとした顔で首を傾げる里奈は、この意味が全く分かっていないようで、恥ずかしさに打ちのめされている可奈の頭からは湯気が出てきそうだ。
「ちょっと、里奈……」
「いいの、かっこ悪いけど里奈の言ってる通りだし。2人で会えたら良いんだけど、あたしら友達暦長いし今更って感じで」