けがをしたきつね
顔に怪我をしたキツネが一匹、くたくたと歩いている。ただのかすり傷だと思われたが、入りが深く、血が滴っている。

ぽたり。ぽたり。どんどん流れ出ている。

キツネはこのままでは死ぬだろうと思っていた。少し転んだだけでこんなに重い傷になるとは思わなかった。

大きくなったらキツネ村をまとめ上げる、立派な村長になるのが夢だった。それも叶わないかもしれない。もう痛くて痛くて歩けない。意識が遠のきそうだった。

そんな時、くすり箱を背負ったキツネがこちらに向かって走ってきた。そのキツネは「大丈夫?」と声をかけた後、手当をしてくれた。この薬屋のキツネは、けがをしたキツネと同じ村に住むキツネだった。
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