同期は蓋を開けたら溺愛でした
1.溺愛宣言

「振られた〜」

 駆けつけ一杯のビールで喉を潤し、私、青木恵麻(あおきえま)は、カウンターに並んで座る右隣の大友雄大(おおともゆうだい)に愚痴る。

 自分でも外見はそこそこ悪くないと思う。
 身長も顔も人並み。

 それなのにすぐに振られて、こうして同期で気の合う大友と飲みに来ている。

 その大友も最初の一杯をいい飲みっぷりで空けてから、呆れ声を出した。

「またか。今まで何回、こうして振られたお前と飲んでるんだろうな」

 カウンター越しの居酒屋のお兄さんまでも苦笑している。

 行きつけの店は店長のお兄さんとも顔なじみ。
 いつも大友とカウターに座り、何でもない話で盛り上がっては管を巻く。
 常連のちょっと面倒くさい客だ。

「飽きないね〜。お前も」と冷めた目を向ける大友はガタイのいい、熊みたいな人。

 背も高く、180センチで全体的に大柄。
 ラグビーをやっていたらしいのは頷ける。

 目つきの悪さも手伝って、一見、強面だ。
 だからなのか、少しの優しさで女性はコロッと落ちる。
 まぁ、行動はスマートだし、そのギャップがいいんだろうな。

 短髪が似合っていて、男らしい人が好きな女性には相当モテると思う。
 というか、実際にモテている。
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