同期は蓋を開けたら溺愛でした

「いつ助けに入ろうかって待機してたのに、なんだよ、その変な啖呵の切り方」

「変って……」

「普通、言うなら『大友はそんな卑怯な真似するような奴じゃありません!』とかだろ」

 まだクククッと笑いを噛み殺し切れていない大友が楽しそうに言う。

「だって……」

「新しい企画、考えるんだろ。行くぞ」

 大友にハッパをかけられて席を立つ。
 増永さんへ会釈して出て行く大友に倣って、私も会釈してから会議室を後にした。

 オフィスへ戻る途中、大友はチラッとこちらを見て試すような口調で言う。

「完璧な状態の形状だったら、俺は疑われてた?」

 こんな時にその質問をする大友が憎たらしい。
 だから私も無愛想に返す。

「ワニとかカバじゃないシンプルなペン型になって、便利な新機能とかついてたら疑うかもね」

「はは。信用されてるのか、されてないのか」

 前へ向き直って歩く大友は頭をかく。

 大友が頭をかくのは困っている時。
 即座にそう思う自分を、私だって信じていいのか分からない。

 だって今は……。


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