同期は蓋を開けたら溺愛でした

 打ち合わせの申請を出すと受理され、大友の3色蛍光マーカーの後に話す時間をもらえそうだ。
 一歩遅ければ死んだ顔をして、この打ち合わせで大友の補佐をしていたのだ。

 補佐が嫌なわけじゃない。
 今回は自分の不甲斐なさに、補佐さえもまともに果たせると思えなかった。

 不測の事態がこれからだって、ないとは限らない。
 もっとメンタルを鍛えなきゃなぁと数日を省みて自分の弱さを反省する。

 大友がいなかったら、私はどうなってしまうんだろう。

 大友の転職疑惑が晴れたわけじゃない。
 もちろんアンドには行かないだろうけれど。

 もし、大友が自分の夢に向かって、別の道を歩むと決めたとしたら。
 私は笑顔で送り出せるのかな。

 まだ分からない未来を不安に思い、暗い気持ちになりそうになる考えを追い出すように頭を左右に振る。

「どうした。脳みそ飛んでくぞ」

「飛んでく脳みそが無いから平気」

「ああ、飛んでくほど余ってないか」

 頬をむくれさせると大友は軽く笑う。

 この関係を失いたくない。
< 124 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop