同期は蓋を開けたら溺愛でした

「これはいい」

 営業課長の感心した声にみんな賛同するように頷く。

「男性がターゲットですが、今後展開していく時は色を増やし、持ち手の絵柄も可愛らしいものにすれば女性も顧客に取り込めると思います」

 私の方に視線をチラッと向けた大友の言わんとすることが理解できた。
 私のカッターがダメだった場合、女性向けを私に頼みたかったのだろう。

 可愛い絵柄に、綺麗な発色。
 何より、他にも色を増やすのなら、色を混ぜて新しい色を作る楽しさも広がる。

 補佐的な仕事でも、私のモチベーションが上がる内容まで用意している大友に感服する。

 そうこうするうちに大友の蛍光マーカーは細かい擦り合わせを済ませ、商品化に向けて話が固まっていく。

 その後は『さらさらカッター』についてだ。

「それでは……」

 私が口を開いた途端、それを制止するように増永さんが手を上げた。

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