同期は蓋を開けたら溺愛でした
「アンドは言葉巧みに担当した営業に席を外すように仕向けるようだ。うちの営業もこの資料だけでは足りないと席を外した。その上、社員も使用するカフェに打ち合わせ後の滞在を許してしまった」
社員も利用するカフェ。
それは大友と一緒に気分転換をしに行ったあのカフェ……。
原田課長が私に分かるように話をまとめてくれる。
「つまり青木がカフェで今回のカッターの件を思いついた時に、運悪くアンドの社員が近くにいたんだよ」
それで……。
どこから情報が漏れたのか、薄気味悪い気持ちでいたものが、多分そうだろうという段階でも分かって心が軽くなる。
何よりも内通者がいなかったであろう結果に安堵する。
「商品企画課としても社外秘に当たる話を無闇にカフェでしないよう指導を徹底します」
原田課長に言われ、自分も気を引き締めなければと肝に銘じる。
自社ビルのカフェとは言え、社外の人も利用できる場で企画の話をして軽率な行動だったのだから。