同期は蓋を開けたら溺愛でした

「まさかの直前で乗らないって嫌がらせされるかと思った」

 ははっと軽く笑う大友に「……手」と訴える。

「ん?」

「ん、じゃなくて」

 乗り込む時に重ねた手を大友は離してくれない。
 狭い観覧車の中で手をつないで立ち尽くす状況に落ち着かない。

「じゃ隣に座って」

 甘えたように言う大友にときめきを覚えるものの、無理やり向かい合うように座る。
 体を落ち着かせるとともに、早く気持ちも落ち着かせたかった。

 すると大友が私の座った方へ歩み寄り、ガクンと観覧車が傾いた。

「ひゃっ。だ、だめだよ。大友、大きいんだからこっちに来たら傾くに決まってるじゃない」

「何? 怖いんだ」

「そうじゃ、ないけど」

 本当は怖い。
 高いところは得意じゃない。

 けれど言ったらわざと揺らすぐらい、大友ならやりかねない。

「お前と落ちるなら、俺は本望だけどな」

 縁起でもない台詞を口にして、大友は私の隣へ座った。
 重心が余計に偏ってゆらりと観覧車の機体が傾くから、私は思わず大友の腕にしがみつく。

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