同期は蓋を開けたら溺愛でした
会話が途切れ、名前を呼ばれる。
「恵麻」
甘い呼びかけに胸がキュンと甘酸っぱい痛みを伴って鼓動を速める。
頬に手を添えられると、顔を上げさせられて視線が絡む。
慈しむように見つめる大友は、いつになく真剣な声色で告げた。
「恵麻、好きだ。俺と付き合おう」
真っ直ぐに見つめる双眼に胸が苦しくなって目をそらす。
すると添えられていた手が頬を撫で、耳をも優しく撫でられた。
「ん……」
くすぐったくて肩をすくめる私へ、大友は言葉を重ねる。
「俺、待ったよな。もういい加減、返事聞かせて」
私だって自分の気持ちに気づいてる。
それなのに、言えない。
後戻りできない関係になってしまったら全てを失うかもしれない恐怖や、本当に変わってしまうであろう関係に躊躇する。
両手で頬を包みこんだ大友が「やっぱり返事はナシか」と寂しそうにつぶやく声を聞いて、胸の奥が軋む。
「だって……」
声を出すだけで泣けてしまいそうな想いを言い表せなくて言葉に詰まる。