同期は蓋を開けたら溺愛でした

 声が届いたのか、やっと掴まれた手は解放された。
 代わりに頭は力なく私の肩へと預けられる。

「もう、他の誰かのものになるなよ」

 すがるような声に胸の奥が軋む。

「あと、一度だけ……」

 そう言った大友はゆっくりと顔を持ち上げて、私の顎に手を添える。

 顔を傾けて近づいてくる大友を受け入れるように目を閉じる。
 唇は優しく触れると離された。

「これ以上は俺がやばい」

 口元に腕を当て、離れていく大友のスーツの端を掴む。

「ギュッ、は?」

 上目遣いで見つめると目があってガシガシと頭をかいた大友が「どうなっても知らないからな」とつぶやいて、性急に体を抱き寄せた。

 力強く抱きしめられる体にしがみつく。

「頼むから早く俺に落ちろよ」

 切なくなる声にやりきれなくなって、大友の胸元に顔をうずめる。
 それに呼応するように抱きしめる腕に力が込められた。

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