同期は蓋を開けたら溺愛でした

 しばらく抱き合ったあと「冷蔵庫にしまわないと腐るな」とつぶやいて、大友は体を離した。

 大友と深い関係になりたいわけじゃないのに、離された温もりが寂しい。

「恵麻はさ、俺とはまだそうなりたくないんだろ。分かってるから」

 顔を見ずに言われ、言葉を詰まらせる。

 気づいて、いたんだ。
 それはそうか。いつも言わなくてもバレてしまうんだから。

「ったく。結局、言わなきゃいけないんだもんな」

 不平を口にして、頭をかき回される。

「風呂、行けよ。のんびりしてると一緒に入ってやるからな」

 冗談か本気か分からないトーンで言われ、背中を押して送り出されるものだから、慌ててバスルームへ向かった。


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