同期は蓋を開けたら溺愛でした

 目まぐるしい一日を過ごした疲れが出たらしく、お風呂から上がった私はベッドで丸まってうたた寝をしていたようだ。

 あとからお風呂へ入った大友が「やっぱり小動物」とつぶやく声を聞いて、薄眼を開ける。

 思えば今まで酔って正体が無くなったときくらいしか泊まっていない。
 それとも、企画に集中して周りが何も見えなくなった時。

 とにかく疲れているとは言え、こんなにも意識がはっきりしているのに、大友と一緒に寝るだなんて……。

 酔った勢いで手を出したくないとは言われた。
 けれど酔ってない今ならいいわけ?

 あれ、でも、待ってくれるんだっけ?

 頭の中で混乱が起き、嫌でも目は冴えてくる。

 だからと言って、大友がベッドとローテーブルの間の狭い、しかもフローリングで寝られるのも寂しい気持ちになる。

「髪、乾かさないと風邪ひくぞ」

 うたた寝を見越していたように手にドライヤーを持っており、声をかけると同時に温風が当てられる。
 人に髪を乾かしてもらう心地よい状況に再びまぶたが重くなる。

< 150 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop