同期は蓋を開けたら溺愛でした
「気持ちに気付いたのは大泣きされた日」
大友は何かを諦めたように静かに話し出した。
大泣きしたのは、社会人になって初めて付き合った人に振られた時。
冬の初めに付き合って冬が終わる前に振られてしまった。
「パンケーキを作ってくれた、あの日?」
それは昨日言っていた『黒歴史』というやつだ。
私への気持ちを自覚した日が黒歴史って、あんまりだ。
私は当然の疑問を向けた。
「どうしてそれが黒歴史?」
「気付かなければ、こんな思いしなくて良かっただろ。ただの戯れ合う同期でいられたのになって」
拳を握りしめる大友は悔しそうに吐露した。
大友の台詞も態度もショックだった。
同期の関係を大友も崩したくなかったのだ。
自分だって今でもその思いがあるのに、大友がそう思っていると嫌だなんて、とんだわがままだ。
分かってる。分かっているのに、上手く処理できない。
大友はなおも続けた。
「パンケーキを見る度に泣いてるお前が頭に浮かんで切なくなった。どうにかしたやりたいのに、同期の俺じゃどうにもできない」
そんな風に考えていたなんて……。
胸が痛くなって、服の裾をギュッと握りしめる。