同期は蓋を開けたら溺愛でした
13.それならキスをして
水野さんと別れ、とぼとぼと歩く帰り道。
どうせダメなら、もう一度だけ当たって砕けよう。
意を決して大友のアパートへ向かった。
緊張しつつ、震える手でインターホンを押す。
声がしないまま、ガチャリとドアが開いた。
「なんだよ、恵麻か」
不機嫌な声色に躊躇しつつも、開かれたドアから無理やりアパートへ入る。
勝手に中へ上がるとあとから部屋に入ってきた大友がこぼす。
「あれ、恵麻ちゃんがいるー」
さっきとは打って変わって陽気な声。
テーブルには空いたビールの缶がいくつも置かれ、大友もどこか様子が違う。
「大友、変だよ。飲みすぎなんじゃない?」
「うるさいなー。別にいいだろー」
どこか呂律が回らない声を聞き、心配になって顔を覗き込もうとした瞬間。