同期は蓋を開けたら溺愛でした

 突然抱きしめられて、心臓が止まりそうなる。
 そしてすぐさま首すじに舌を這わされた。
 身動いでも大友はビクともしない。

「恵麻、好きだ。俺のものになれよ」

 嬉しいはずの言葉も今はそれどころではない。

 覆い被さるようにベッドに倒され、手はあらぬところへ。

「嫌っ。ねえ、大友! ねえったら!」

 全く声は届かない。
 痺れを切らし、思い切って両手で頬をたたく。

「雄!」

「痛っ……」

「お願い。しっかりして。雄とはちゃんと……。好きだからお願い。ちゃんと付き合いたい」

「ああ。うん。俺も」

「だったら、そういうことは酔ってない時にしよう?」

「うん……」

 素直な返事をしつつも、手は体の線をなぞる。

「だから!」

 手をつねっても大友は動じずに笑う。

「ははっ。恵麻が怒ってる」

 里美に言われた言葉が頭を巡る。
『恵麻の前では弱ってるところ見せてないんじゃない』

 酔って正体が無くなるところなんて今まで見せたりしなかった。

 戸惑っているのに、聞こえてくるのは気の抜ける声。
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