同期は蓋を開けたら溺愛でした
「ずっと付き合っていられるとしても、アパートじゃ色気がないだろ。どこか行った時にここで初めてキスしたなって、そういう……」
最後まで聞いてもイメージとは違う。
「やっぱりロマンチスト?」
「もういいよ」
「拗ねないでよ」
「拗ねてない」
腕組みをして、玄関のドアばかり見つめる大友に私はぼやく。
「だって。さすがに初めてキスした次の日にあんな上級者向けの場所……」
「周りもあんなんなら、気にならないかと思って」
「気になるよ!」
文句を言うと大友は私の頭をかき回す。
「俺とならどこだっていいって言わなかった?」
「それは……」
意地悪な顔をされ、反撃してやろうと思いついて、タッと距離を詰めてキスをする。
「なっ……だからやめろって」
たじろぐ大友を見て満足げに言う。
「どんなに悪戯したって、最初はアパートではしないんだもんね?」
「お前! 覚えとけよ」
頭をグリグリされて「痛いってば!」と文句を言いながら一緒にアパートを出た。