同期は蓋を開けたら溺愛でした

 カフェで昼食を済ませるとデパートに向かう。
 バーゲンも初日ではないせいか、それほど混み合ってはいない。

「わあ。かわいい」

 一番最初に目に飛び込んできたのは、白い生地で裾はレースがあしらわれているトップス。
 フリルそのものが袖になっている可愛らしいデザインのもの。

「ああ。似合いそう」

 臆面もなく言われ、服へのときめきが大友への戸惑いに変わる。

「でも、ここまで可愛いデザインで白を選ぶとキャラじゃないし」

「そう? 似合うだろ」

「いやいやいや。だって私だよ? こういうのはゆるふわロングヘアが似合いそうなフェミニンな雰囲気の……」

 全て言い終わる前に髪をひとすじ取って「髪、伸ばせば? ロングも似合うだろ」と気にしている点を簡単に飛び越えてくる。

「似合わないってば。キャラじゃない」

「どこが。甘えたなところとか可愛いだろ」

 平然と向けられる台詞は近くにいた人に聞こえたようで、その人はそそくさと逃げていく。

 かぁーっと顔が熱くなって、居た堪れずに大友の腕を引いてその場を離れた。

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