同期は蓋を開けたら溺愛でした

 人通りが少ない場所まで来て、どういうつもりかと問いただす。

「まだアパートでの仕返ししたいの?」

「何が」

 すっとぼける大友が憎たらしい。

「似合わないでしょ」

「似合いそうだから、そう言ったまで」

 気怠げに答えられて憤慨する。

「どこが!」

 文句をぶつけているのに、あろうことか大友は私へ覆い被さってキスを落とす。

「な、んで。キス」

「ほら、そういう顔。かわいい」

 さっきまでの勢いはシュルシュルと消え失せて何も言えなくなる。

 やだ。なんでわざわざひとけがないところへ連れ込んじゃったんだろう。

「ここでする? 深いキス」

 大友の甘いささやきに目眩がした。

 喧騒から離れ、別世界へ来てしまったような気がする。

 息を飲んで見上げると大友は苦笑している。

「冗談。買い物、するんだろ」

 笑いながら手を引く大友が「さっきの服、気に入ったんなら白を買えよ」とダメ押しをする。

「だって」

 勢いは無くなったものの、どうしても勇気が出ない。

 いつまでもウジウジしていると明るく提案された。

「じゃ明日もデートしよう。その時に着て。その後もずっと俺のために着ればいいだろ」

 俺は似合ってるって思ってるんだから、とまで言われ、照れくさいけれど、他にも選んだ何点かと一緒にお買い上げした。
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