同期は蓋を開けたら溺愛でした

「ま、服の趣味は似てそうで助かる」

 服の趣味と言われ、まだ意見はそれほど言っていないのに、と頭に疑問符が浮かぶ。
 不思議そうな顔をしていたのか、大友は続けた。

「あんまり露出が多い服は好きじゃない」

 大友も同じ思いだったのだと安堵して本音をこぼす。

「よかった。そのTシャツを着られたら目のやり場に困りそうだもん」

 ははって軽く笑って「それ聞くとわざと着たくなるけどな」と動揺させるような台詞を言う。

「着なくていいからね」

 目くじらを立てると拍子抜けする声。

「まあ、俺も着たくないし」

 そう言って手に持っている他の服を軽く上げ「試着してもいい?」と聞かれた。

「見ただけじゃ着れるか分からないから」

 面倒なんだよな、とぼやきながら先ほどの店員さんに試着する旨を伝えている。

 着たくない、とまで言われるとは思わなかった。

 露出が好きじゃないのも意外だ。
 どちらかと言えば筋肉自慢とかしそうなイメージなのにな。
 自慢された覚えはないけどさ。

 しっくりこないまま、試着をしにいく大友のあとについていく。

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